天然バニラと合成バニラの違いとは。パティシエも認める匂いの違い。

天然バニラは世界でもサフランに次ぐ2番目に高価なスパイスとして知られており、今では銀より高いともいわれています。
天然のバニラは生産が非常に難しく、また、マダガスカル産のバニラの出荷量が激減したため近年価格が高騰している商品です。
日本国内のパティシエやお菓子やでも天然バニラの高騰のあおりを受け、合成バニラなどの市販で使えるバニラの使用がほとんどになっています。こだわりたいお店でも天然バニラは使えないというのが現状です。
我々消費者も天然のバニラを食べれる機会は実はそれほど多くないのかもしれません。
【天然バニラと合成バニラの違い】
天然バニラとは文字通り天然で作られたバニラのことを指しますが、合成バニラとはバニリンというバニラのにおいの元の成分を工業的に生成したものを指します。
サフロールバニリン
サッサフラスの精油から得られるサフロールをナトリウムメトキシドで処理して二重結合を移動させると同時にアセタールを開環させ、オゾン酸化で二重結合を酸化開裂すると同時にアセタールを除去してプロトカテクアルデヒドとし、ジメチル硫酸でメチル化してバニリンとする。
オイゲノールバニリン
クローブバニリンとも呼ばれる。チョウジの精油から得られるオイゲノールをアルカリで二重結合を移動させてイソオイゲノールとし、これをオゾンなどで二重結合を酸化開裂させてバニリンとする。
リグニンバニリン
亜硫酸パルプの製造の際に出る廃液中のリグニンスルホン酸をアルカリ中で酸化分解してバニリンとする。リグノバニリンとも呼ばれる。
グアヤコールバニリン
現在主流の合成法である。グアイアコールをホルミル化して合成する。ホルミル化の方法はライマー・ティーマン反応を用いる方法やグリオキシル酸を付加させた後、これを酸化分解する方法などが知られている。
化学的合成のほかに、合成生物学を利用して細菌や藻類のDNA配列を人為的に操作することで、バニリンを生成する細菌や藻類を生み出そうという試みも行われている(シンバイオ・バニリン)。