出雲市の特産品

”神話の國”または”縁結びのまち”として全国に知られている島根県出雲市。
神様との縁とゆかりが多い”出雲市”にはどんな特産品があるのかを、探っていきます。

【出雲市とは】

 出雲市は島根県の東部に位置し、北部は国引き神話で知られる島根半島、中央部は出雲平野、南部は中国山地で構成されています。出雲平野は、中国山地に源を発する斐伊川と神戸川の二大河川により形成された沖積平野で、斐伊川は平野の中央部を東進して宍道湖に注ぎ、神戸川は西進して日本海に注いでいます。日本海に面する島根半島の北及び西岸は、リアス式海岸が展開しており、海、山、平野、川、湖と多彩な地勢を有しています。
 今日の出雲市は平成23年10月1日、斐川町との合併により誕生しました。出雲市と斐川町は、「神話の國 出雲」として全国に知られるとともに、出雲大社、荒神谷遺跡、西谷墳墓群などの歴史・文化遺産と、日本海、宍道湖、斐伊川などの豊かな自然に恵まれた地域です。
 また、斐伊川と神戸川に育まれた豊かな出雲平野が広がる農業生産力の高い地域であり、日本海沿いには多くの漁港も有しています。工業は山陰有数の拠点であり、商業集積も進み、各産業が調和した地域です。同時に出雲縁結び空港、河下港、山陰自動車道と環日本海交流の機能も担える交通拠点でもあります。
 出雲市といえば”出雲大社”があります。旧暦の10月を全国では神無月と呼称していますが、出雲だけは”神在月”と呼びます。全国の八百万の神様が10.11月に出雲大社に集まります。神様とゆかりが多いまち”出雲市”でもあります。

 

【出雲市の特産品】

【出雲そば】

 出雲市の特産品として代表の一角なのが出雲そばです。出雲そばは出雲地方を代表する食文化です。

特徴①一般的なそばと比べて見た目が黒っぽい
 通常そば粉を作る時は、殻をむいたそばの実を一番粉から四番粉に分類します。そばの実の中心に行くほど白くなり、どの場所を使うかによってそばの種類も変わってきます。中心の白い部分、一番粉で打ったそばが、いわゆる「更科そば」と呼ばれるもので、出雲そばは粉の選別をせず、玄そば(殻のついたそばの実)をそのまま挽き込む「挽きぐるみ」と呼ばれる製粉方法で作ります。そのため色は黒っぽくなりますが、栄養価と香りが高く、風味と食感の良いそばが出来上がるのです。

特徴②「割子そば」と「釜揚げそば」
 出雲そばは食べ方にも大きな特徴があります。冷たい「割子そば」と温かい「釜揚げそば」があり、どちらも共通して食べる時にそばつゆをかけていただきます。それぞれの特徴と、食べ方をご紹介します。

〇割子そば
 割子そばは丸い漆器の器にそばを盛り、三段重ねの器で提供されます「割子そば」は出雲そばの食べ方のひとつです。 一段目に大根おろし、ねぎ、かつお節、のりといった薬味をお好みでそばに盛りつけ、そばつゆを直にかけて食べます。一段目を食べ終えたら、二段目に薬味を散らし、一段目のつゆと好みに応じてつゆを追加して食べます。
 だしのかけ過ぎは、 そばの風味が失われてしまうので、だしはかけすぎないのがポイントです。のどごしを楽しむより、そばの香りを楽しんで食べるのが、出雲そばの流儀です。

〇釜揚げそば
 通常、そばは茹でた後に水洗いをしますが、屋台売りのため都度洗うわけにはいかず、鍋や釜から茹でたそばを器に盛り、とろみのあるそば湯を入れ、つゆや薬味をかけて食べていたようです。そのスタイルが今に残り、割子そばと並んで出雲そばの代表的な食べ方になりました。割子同様、自分でつゆを入れて味を調節できるのが特徴で、そばの栄養が溶け出したそば湯も一緒にいただくので、健康食としても注目されています。

 割子そばが城下町松江の発祥であるのに対し、釜揚げそばは出雲大社をはじめとした神社周辺が発祥といわれています。全国の神々が集まる旧暦の10月、出雲地方の神社では「神在祭」が執り行われますが、昔はこのお祭りの際に神社の周りに屋台が出て、温かい釜揚げで新蕎麦を振舞っていたといいます。神々がお集まりになる祭りから生まれた食文化、とろみのあるそば湯に浸かった香り高い出雲そばを食べながら、神代の出雲に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

【あごのやき】

 あご、とはトビウオのこと。日本海で5月から9月にかけて豊富にとれるトビウオのすり身を炭火で焼きあげたものが「あごのやき」。暖かい季節に火の側でする作業なので屋外で行うことが多く、それが「野焼き」の名の由来と言う。野焼きの香ばしいにおいは松江の初夏の風物詩だった、と土地の古老は言う。焼きたてを包丁で切らず手でちぎって食べるのがいい。総菜としてよりは酒の肴として珍重されます。
 作り方は、トビウオのすり身を長い金の棒に直径5㎝ほどに練りつけ、くるくると回しながら焼く。この時、板に針をうちつけた「針山」で小さい穴をたくさんあける。皮の剥離防止と、火の通りをよくするためです。
 トビウオのすり身は黒っぽく、太い野焼きの外観は決して洗練されたものではないが、口一杯にほおばると酒とみりんの香りが鼻にぬけ、トビウオ自体のかすかな甘味がひろがる。しこしことした歯ごたえと、ほどよく焦げた皮のうまみが合わさり、いわゆる竹輪とは全く別物の趣があります。

【あごだし】

 あごだしとはあごを乾燥させたものからとった出汁のことです。あごというのはトビウオのことです。
 あごだしは、雑味がなく上品でありながら、どんな料理でもあごだしを感じることできるコクがあるのが特徴です。なぜそのような特徴が生まれるのかというと、トビウオという魚の生態に関係しています。トビウオはイメージの通り大きな翼のようなひれを持ち、海を滑空するような形で行動をします。その運動のおかげか、とても筋肉質で脂肪分が少なくなります。食材としてのトビウオは、筋肉質でしまった身のおいしさから刺身やフライとして食べられることが多かったのですが、最近ではあごだしという形でも広まってきました。脂肪分がすくなく、味がしっかりしているのは鰹節や煮干しのような加工に向いています。

【デラウェア】

 島根県出雲市は、全国有数のデラウェアの産地として知られ、島根を代表する園芸品目となっています。
 デラウェアはぶどうの品種の1つで、アメリカ合衆国のオハイオ州デラウェア市で発見されたことから、「デラウェア」と名付けられました。
 デラウェアは種がなく、果皮の色は赤紫色、糖度は20前後と甘みが強いのが特徴です。一房は大体100~150gでちょうど女性の片手に収まるサイズです。果粒の大きさは1㎝程度と小粒。果皮を軽く押すだけで、ちゅるんと中の実が簡単にでてくるので、とても食べやすく、果物の中では手頃な価格で購入できるため、昔から日本で親しまれているブドウです。

【ぜんざい】

 ぜんざいは、出雲地方の「神在(じんざい)餅」に起因しています。 出雲地方では旧暦の10月に全国から神々が集まり、「神在祭(かみありさい)」と呼ばれる神事が執り行われていることは有名ですが、そのお祭りの折に振る舞われたのが「神在(じんざい)餅」。その「じんざい」が、出雲弁で訛って「ずんざい」・・・、「ぜんざい」となって、京都に伝わったと言われています。「ぜんざい」発祥の地は出雲であるということは、江戸初期の文献、「祇園物語」や「梅村載筆」(林羅山筆:儒学者)、「雲陽誌」にも記されています。
 出雲大社付近の神門通りはぜんざいを提供しているお店が多くあり、ぜんざいストリートなんて呼んでいる人もいたりいなかったりするほどです。

まとめ

 出雲の特産品いかがでしたでしょうか。紹介しきれていない特産品も多々あります。そばを始め、海産物や農産物はたまた甘味まで幅広い特産品があります。ぜひ、一度御賞味してください、どれも昔から愛されているため美味しいこと間違いありません。