【トラブル回避マニュアル】民泊法人が物件を契約するときに絶対に知っておくべき7つの注意点
はじめに|「法人契約=簡単に借りられる」ではない
「法人化すればスムーズに物件を契約できると思っていました…」
実はこれ、民泊オーナーの“よくある落とし穴”です。
民泊を法人で運営する場合、物件契約には独自の注意点が存在します。
知らずに契約してしまうと、運営不可・違約金・強制退去といった深刻なトラブルに直結します。
この記事では、民泊法人が物件を契約する際に避けては通れない7つのチェックポイントを、不動産業界・民泊業界の視点から徹底解説します。
第1章|法人契約で「借りられる物件」は限られている
✅ 物件の“用途制限”と“オーナー方針”を最優先で確認
民泊に使える物件は、以下2点を同時に満たしている必要があります。
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【1】建物の用途地域・管理規約上「宿泊可」
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【2】オーナー(貸主)が民泊利用を了承している
法人名義でも、建物の構造や管理組合のルールで民泊が禁止されていれば契約しても運営不可。
また、法人登記がOKでも民泊はNGというケースも多数あります。
第2章|「サブリース・転貸OK」は明記されているか?
✅ 契約書に「転貸可」の記載がない場合は要注意
民泊では「自社で借りた物件をゲストに貸す」=転貸行為となります。
これが禁止されている場合、違法運営&契約解除のリスクに直結します。
✅ チェック項目:
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【サブリース可】【用途変更許可】【転貸承諾済】の記載があるか
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仲介会社だけでなく貸主本人の書面承諾が取れているか
第3章|用途地域が「第一種低層住居専用地域」は基本NG
✅ 法人登記・民泊運営の両方が制限されやすい
都市計画法により、「第一種低層住居専用地域」ではホテルや簡易宿所としての営業が原則不可です。
この地域での法人契約は、登記はできても民泊はできないというケースが多発します。
✅ 不動産登記簿+都市計画図でエリア確認を!
第4章|契約書の「事業用途」欄は“民泊”と書いてよいのか?
✅ グレーな表現で契約すると、後に大きなリスク
よくある契約書記載:
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「事務所利用」:◯(登記OKだが民泊不可)
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「住居兼事務所」:△(要確認)
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「簡易宿泊所利用」:◎(自治体許可が前提)
明確に民泊を想定していない契約で運営を始めると、近隣住民からの苦情→発覚→強制解約もあり得ます。
必ず“宿泊利用”であることを事前説明+記載しましょう。
第5章|保証会社・連帯保証人の条件は法人によって異なる
✅ 法人契約は「代表者の個人保証」が求められるケース多数
個人契約と異なり、法人の場合:
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信用情報(決算書・登記簿謄本)の提出が必要
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代表者個人が連帯保証人になることが求められる
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保証会社の審査基準が厳しい
創業間もない法人では「民泊用途」での審査が通りにくいため、収益計画・実績の提示が重要です。
第6章|内装工事や看板設置には「事前承諾」が必要
✅ 原状回復義務+事前許可が鉄則!
民泊用にリノベーションを施す場合、
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間取り変更
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配管工事
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看板・照明・セキュリティカメラの設置
といった改装が必要になることも多いですが、
事前にオーナーの書面承諾がなければ“原状回復トラブル”の原因になります。
→ 工事契約前に承諾をもらう/設計図と写真を提示することが必須です。
第7章|「旅館業・民泊届出」は契約前に確認しておく
✅ 管轄自治体での事前相談+オーナー承諾が必要
民泊運営には必ず、
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【住宅宿泊事業法(いわゆる“民泊新法”)】
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【旅館業法(簡易宿所)】
いずれかの手続きが必要です。
これには「物件所有者の承諾書」が求められます。
さらに、建築基準法・消防法・用途地域の制限も加味されるため、
契約前に行政とオーナーの双方に確認を取りましょう。
まとめ|法人名義で民泊物件を契約するなら「法務×現場感覚」が命
✅ 法人契約は、自由度が高い分「責任」と「制限」も大きい
✅ サブリース・用途地域・オーナー承諾は鉄板の3大チェックポイント
✅ 曖昧な契約は“トラブルの温床”になる。必ず明文化を。
成功する民泊法人は「契約時点」で勝負がついている
民泊事業の成功は、実は契約書を交わす前の準備段階で決まります。
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稼げる物件かどうか?
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法的に問題なく運営できるか?
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オーナーと信頼関係を築けるか?
それらをすべてクリアできる法人だけが、合法かつ安定して長期運営できるのです。
契約書1枚を甘く見ないこと。
それが、あなたの民泊ビジネスを守る最大の戦略です。