豚肉 栄養素
前書き
お肉は太る!と思われがちですが、体をつくるもととして
大事な栄養素が沢山あります。
豚肉にはどんな栄養素が含まれているかをご紹介します。
【豚肉の栄養素とは】
【タンパク質】
豚肉には血や筋肉を作るたんぱく質が豊富に含まれていて、体の中で効率よく使われるため、良質なたんぱく質といわれています。
たんぱく質は体内に入ると分解され、コラーゲンやほかの組織として再構成されます。コラーゲンの生成にはビタミンCが必要なため、ビタミンC含有量の多い食品を組み合わせるのがおすすめです。
【ビタミンB1】
豚肉には糖質からのエネルギー産生を助けてくれる働きがあるビタミンB1も含まれています。
麺類や丼もの、おにぎりだけなど単品に偏った食べ方や、インスタント食品ばかりを食べて食事バランスが崩れると、ビタミンB1が不足しがちになります。そうなると食欲がなくなったり、疲れやすい、だるいなどの症状になります。なんとなくだるいなと感じたら、食事の内容を見直してみましょう。
【ビタミンB12】
ビタミンB12は、血液の成分である赤血球に含まれるヘモグロビンという成分を作ることに関与しています。ビタミンB12は不足してしまうと巨赤芽球性貧血という悪性の貧血になってしまいます。
極端な食事制限や偏食でなければ不足はおこりにくいといわれていますが、ベジタリアンやヴィーガン、動物性食品をあまり食べない人は不足する可能性があります。
【ナイアシン】
ビタミンB群の仲間であるナイアシン。実は体内でトリプトファンというアミノ酸からも合成することができます。
ナイアシンは、酵素を補助する補酵素として、皮膚や粘膜の健康に維持するはたらきを助けてくれます。ナイアシンが不足すると、ペラグラという皮膚炎や、消化器の不調になることが知られています。
【鉄分】
豚肉には、赤血球に含まれるヘモグロビンの原料になる鉄分も豊富に含んでいます。体内の鉄分が減少するとヘモグロビンが低下し、酸素の供給が低下することから疲れやすさ、頭痛、息切れなどの鉄欠乏性貧血の症状があらわれます。なんと成人女性の5人に1人が鉄不足による貧血であるといわれています。
特に女性は妊娠や出産、月経などにより鉄が失われる機会が多いため、しっかりと鉄分をとる必要があります
【亜鉛】
亜鉛は不足すると味覚障害が引き起こされるといわれています。最近では特に若い女性のダイエットで極端に少ない食事を続けていたり、偏った食事のせいで亜鉛不足による味覚障害が心配されています。
無理な食事制限をしているとかえって体を壊してしまう可能性があるので、いろいろな食品をまんべんなく食べるようにしましょう
【ビタミンB1】
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【ビタミンB1が不足するとどうなる?】
玄米が重要なビタミンB1の摂取源だった日本では、ぬかを取り除いた精白米を食べるようになった元禄時代以降、脚気にかかる人が多くなり、江戸患い(わずらい)とも呼ばれていました。現代でも、インスタント食品などの利用の増加により、ビタミンB1が不足し、脚気にかかる人もいます。
【どんな食品に多いの?】
ビタミンB1は、肉類、魚類、豆類、穀類、種実類などに多く含まれています。穀類では米ぬかや小麦はいがに多いため、精白米にするとビタミンB1の含有量は少なくなります。
ビタミンB1はニンニクやタマネギなどに含まれているアリシンと結合してアリチアミンになると、吸収率が高くなります。しかし、熱に弱いため、調理による損失が大きいといった欠点があります。
【効率的な摂取方法は?】
豚肉に含まれるビタミンB1を効率よくとるには、アリシンというビタミンB1の吸収を助けてくれる成分を一緒にとるのがおすすめです。香りの強い野菜であるにんにくやにら、玉ねぎなどに多く含まれています。
アリシンは、細胞を壊すことで発生するので、にんにくやたまねぎをきざんだり潰したりして豚肉と一緒に調理すると効果的です。また、油で調理するとアリシンが壊れにくくなるといわれてるので、たまねぎやにらを豚肉と一緒に組み合わせ調理するように意識してみましょう。
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【ビタミンB12】
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正常な赤血球の産生、脳神経および血液細胞など、
多数の体内組織の機能や発達を正常に維持するために必要な栄養素です。
補酵素としてアミノ酸代謝、核酸代謝、葉酸の代謝に関わっています。
【動脈硬化の原因?ホモシステイン濃度を保つ】
動脈硬化の危険因子とされている「ホモシステイン」の
血中濃度を正常に保つはたらきもあります。
●ホモシステイン
必須アミノ酸であるメチオニンの代謝副産物として生成されるアミノ酸です。
欠乏すると代謝ができずホモシステイン濃度が上昇し、
細胞内から血液中に移行し蓄積しすることで動脈硬化を引き起こすため、
心筋梗塞などの心臓疾患や脳卒中のリスクが高まります。
【ビタミンB12が不足するとどうなる?】
新たに血液を造ることができず巨赤芽球性貧血になったり、
末梢神経障害(しびれや、手足のチクチクする痛み)、
疲労、体力低下、便秘、食欲不振、体重減少などの症状が起こる可能性があります。
【おすすめの調理法】
レバーやアサリなどに多く含まれています。
水溶性ビタミンのため、水に溶けやすい性質があります。
そのため、茹でたりすると茹で汁にビタミンが流れ出てしまいます。
豚肉に含まれる水溶性ビタミンを効率よく摂取するためにも、
茹で汁ごといただけるスープなどがおすすめです。
また、茹でて調理する代わりにレンジで加熱したり、ゆで汁も捨てずに活用すると、豚肉の栄養も逃すことなく摂取できます。
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【ナイアシン】
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エネルギー産生、糖質、脂質、タンパク質の代謝、肪酸やステロイドホルモンの生合成、
DNAの修復や合成、アルコールの代謝など様々な機能に関わっています。
ナイアシンは小腸で吸収されます。
また、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから合成することができます。
【メンタル維持のセロトニンにも影響】
神経伝達物質の一つで、精神を安定させるといわれているセロトニン。
実はナイアシンと同じトリプトファンから生成されます。
トリプトファンはナイアシンの生成を優先するため、
ナイアシンが不足するとセロトニンが生成されなくなってしまいます。
【二日酔いをする人は摂取したい】
アルコールが体内に入ると、肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。
この物質は極めて毒性が強く、顔面や体の紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの症状を引き起こします。
ナイアシンは「アセトアルデヒド」を分解する酵素の補酵素として働くため、
アルコールをたくさん飲む人はナイアシンを積極的に摂り入れましょう。
【ナイアシンが不足するとどうなる?】
ナイアシンが欠乏するとペラグラ(pellagra)という病気になることが知られています。
ペラグラのおもな症状には、赤い発疹ができる皮膚症状、
口舌炎や下痢などの消化管症状、神経障害があげられます。
【おすすめの料理法】
魚、レバー、肉に豊富に含まれ、熱に強いため、
加熱調理してもほとんど壊れません。
一方、水には溶け出しやすいので、煮汁ごと食べられる調理がおすすめです。
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【鉄分】
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鉄は赤血球の材料になり、全身に酸素を運ぶ役割を担います。
体内の鉄のうち、約7割は赤血球中のヘモグロビンなどの構成成分となり
酸素を全身に運び、残り約3割は肝臓や脾臓などに蓄えられ鉄が不足した際に使われます。
【記憶力に欠かせない栄養素】
鉄不足により脳へ酸素がいきわたらないと、
思考力や学習能力、記憶力の低下につながります。
鉄の適量摂取は運動能力や学習能力の向上が期待できます。
【鉄分が不足するとどうなる?】
不足することで貧血を発症します。
貧血は、血液の赤血球に含まれるヘモグロビンが減って体内が酸欠になる状態の事をいいます。
頭痛や動悸、無力感や食欲不振、作業能力の低下、運動量の減少、
手指の爪の変化などが主な症状です。
また女性は月経により貧血になりやすい傾向があり、特に成長期や月経周期の長い方、
月経過多の方はこれらの症状が現れやすいので注意が必要です。
【おすすめの料理法】
鉄には、肉や魚などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、
緑黄色野菜や豆類などに多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。
鉄欠乏性貧血を予防するには、バランスのとれた食事を1日3回きちんと摂ることが大切です。
また、造血作用のある良質のタンパク質やビタミンB6、B12、葉酸、
鉄分の吸収をよくするビタミンCも積極的に摂ることが大事です。
カフェインは鉄の吸収を阻害する可能性があるため、
貧血気味の方は食中、食後のコーヒーやお茶を控えた方がよいでしょう。
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【亜鉛】
体内で作ることができない「必須微量ミネラル」で、
歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれます。
200種以上の酵素の構成や酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調整、
DNA合成、タンパク質合成、免疫反応の調節などに作用し、身体の成長と維持に必要な栄養素です。
【免疫力アップに期待】
最近の研究では、亜鉛が欠乏すると免疫不全が起こるといわれています。
亜鉛は免疫細胞の働きを活性化させ、欠乏すると免疫の働きが低下します。
このことから、免疫力アップが期待できる栄養素です。
【亜鉛が不足するとどうなる?】
亜鉛が不足すると、貧血、味覚障害、皮膚炎、
免疫機能低下によって感染症にかかりやすくなる、など様々なリスクが高まります。
子どもの場合は成長障害、男性の場合は性機能低下が起きることもあります。
【おすすめの料理法】
亜鉛が多いのは、牡蠣、レバー、アーモンドなどです。
亜鉛はクエン酸やビタミンC、動物性タンパク質と一緒に摂ることで摂取効率が上昇するとされています。
食べるときにレモンを絞ることで、
レモンのビタミンCやクエン酸によるキレート作用(栄養素を包み込んで吸収されやすくする働き)で、
亜鉛の吸収率が高まります。
【まとめ】
豚肉は健康な体を維持するために必要な栄養素が詰まっています。
また豚肉に豊富に含まれるビタミンB1は疲労回復の効果があると言われており、
積極的に取り入れたい食材です。
疲れた時こそ、豚肉があなたの強い味方になってくれることでしょう。