民泊で“固定資産税が上がる”って本当?税負担を抑えるための運営戦略【2025年版】
「空き家を活用して民泊を始めたら、固定資産税が高くなった…」
「副業のつもりが、税金が思ったより重くて利益が出ない」
「不動産投資として民泊運営を考えているけど、税金面が不安」
――そんな悩みを持つ民泊オーナーやこれから始める方にとって、“固定資産税”は見落としがちな費用項目のひとつです。しかも、運用方法によっては税率が急上昇する可能性もあるため、事前の対策が欠かせません。
この記事では、民泊における固定資産税の基礎から、税負担を最小限に抑える運営戦略まで、2025年の最新動向に基づいて5000文字で徹底解説します。
■ そもそも固定資産税とは?民泊とどう関係あるのか?
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地・建物を所有している人に課される地方税のこと。住宅用地や住宅建物には軽減措置があるため、通常はそれほど大きな負担にはなりません。
しかし民泊の場合、運営方法次第でこの税制優遇が適用されなくなる可能性があるのです。
■ 民泊が固定資産税に与える“3つの影響”
① 住宅用地特例の適用外になる可能性
通常、住宅用地には課税標準が最大1/6に軽減される特例がありますが、
-
民泊として事業的に運営している
-
居住用ではなく「宿泊施設」扱いと見なされる
と、住宅用地ではなく“非住宅用地”として扱われる可能性があり、その結果、税額が6倍近くに跳ね上がるケースも。
② 建物の「用途変更」による税額変動
住宅→簡易宿所(旅館業)へ用途変更した場合、
-
税務上は「居住用建物」→「非居住用建物」へ分類変更
-
償却年数や評価額の見直しにより税額アップの可能性
③ 都市計画税・事業用資産の課税強化
一部の自治体では、民泊施設への課税強化が進行中。
特に、空き家再活用が目的ではない事業型の民泊については、課税強化・調査の対象になりやすいという実情があります。
■ 民泊オーナーが知っておくべき“固定資産税の落とし穴”
民泊を始めたことで、実際に以下のようなケースが発生しています:
-
✅ 住宅用地特例が外れて、土地に対する固定資産税が3倍に
-
✅ 建物の用途変更を申告しておらず、あとから修正申告を求められる
-
✅ 自治体による現地調査で“営利性が強い”と判断され、過去2年分の追徴課税
→ 「黙っていればバレない」は通用しない時代。AirbnbなどのOTAデータから運営実態が把握されている自治体も増えています。
■ どうすれば固定資産税を抑えられるのか?6つの戦略
① 用途変更は慎重に検討する
旅館業(簡易宿所)としての許可を取得するか、住宅宿泊事業(いわゆる“民泊新法”)で届出だけにするかで、税制の扱いが変わる可能性があります。
→ 特に「年間180日以内の運営」であれば、居住用扱いが維持されやすい。
② 空き家活用やセカンドハウス民泊で“住宅用地特例”をキープ
-
自宅の一部を民泊にする場合(按分で対応)
-
セカンドハウス的な位置づけの物件で、一定期間の自己使用を確保する
→ これにより「全体が非住宅」扱いされるリスクを減らせます。
③ 不動産登記と実態の整合性を保つ
-
登記上は住宅のままで運営実態が簡易宿所となる場合、調査対象になりやすい
-
建築基準法上の“用途変更申請”と、税務署への届出を連動させて管理することが重要です
④ 建物の評価替えを定期的に確認
固定資産税の評価額は原則3年ごとに見直しがあります。
民泊の稼働率が下がった、運営を停止したなどの事実があれば、
→ 固定資産の用途や評価額の見直しを自治体に相談することで、税負担が軽減される場合も。
⑤ 節税専門の税理士に相談する
民泊に詳しい税理士であれば、
-
事業用按分
-
減価償却資産の扱い
-
所得税・法人税とのトータル節税戦略
など、固定資産税単体ではなく“全体最適”のアドバイスが可能。
とくに法人化して複数施設を運営している場合は、必須レベルです。
⑥ 空き家再生・民泊向け補助金制度を活用する
-
空き家再生補助(国交省/自治体)
-
固定資産税の軽減措置(「住宅確保要配慮者向け賃貸」扱いなど)
-
災害復興民泊や地域活性型民泊への支援制度
→ これらを活用すれば、固定資産税の実質負担を補填する形で運営が可能に。
■ ケーススタディ:税負担を圧縮した民泊オーナーの実例
▶ 大阪市/中古住宅→民泊活用
-
購入時は住宅用地で固定資産税年額7万円
-
民泊を簡易宿所登録し、土地全体が非住宅用地扱いに→年額28万円に増加
-
対策:建物の1/2を居住用として残し按分対応、再調整で課税評価額を見直し
→ 翌年から税額12万円に軽減+過払いの還付も実現
まとめ|固定資産税を制する者が、民泊運営を制す
民泊は「空き家を活かす社会貢献型ビジネス」である一方、
運営実態によって“事業用資産”とみなされ、思わぬ税負担増に繋がるリスクを秘めています。
だからこそ、
-
「税金のルールを知ること」
-
「用途区分や登記の整備を怠らないこと」
-
「税理士・行政書士とタッグを組むこと」
これらが、民泊経営の収益を守る重要な戦略なのです。