島根が誇るお米”仁多米”の凄さ

 今回は"お米のコンクール” と呼ばれる「米・食味分析鑑定コンクール」で4年連続10回目の金賞を受賞している”仁多米”を紹介していく。仁多米の特徴や美味しい秘訣などを紹介します。

 

1.仁多米の生産地”奥出雲町”

  仁多米の生産地である、奥出雲町はたたら製鉄・神話・棚田・温泉などが有名です。奥出雲町を簡単に紹介します。

~奥出雲町の概要~

 奥出雲町は、島根県の東南端に位置し、中国山地の嶺を境に鳥取県と広島県が接しています。日本海側の出雲市や松江市からは約1時間、瀬戸内側の広島市からは約2時間、車にゆられて到着する「奥の町」、豪雪地帯でもあります。といっても、山に閉ざされた閑寂なところではなく、ぽっかり開けた明るい盆地が広がる、のどかな山里です。


 光がいきわたる美しい丘陵の尾根つたいに広大な棚田が広がり、その先には悠然とそびえる山々。船通山、鯛ノ巣山、玉峰山、吾妻山、三郡山と登山客にも人気のある山が、町を見守るようにとり囲んでいますが、これらはいずれも『古事記』や『出雲風土記』に記された、謂れのある山。ことに、船通山はスサノオノミコトが降り立ったといわれる伝説の地で、未知なるロマンを秘めています。


 この船通山を源流に宍道湖へと注ぐ斐伊川は「ヤマタノオロチ」神話の舞台であり、言い換えれば、この地の風土のもと。出雲地方全体の暮らしを支えてきた清流です。斐伊川の上流の奥出雲の大地は上質な磁鉄鉱を含んでいるため、地層を濾過して湧き出る水には鉄分が含まれます。斐伊川流域の肥沃な大地は、この天然のミネラル水が生み出したものなのです。


 奥出雲町はどこの都市からも遠いので、気軽に立ち寄れるところではありません。ですが、だからこそ「奥」には人をひきつける力があります。「奥は源」、「奥ははじまり」。パワースポットという言葉では片づけられない、生きるエネルギーに満ちたところです。 

 

 

 ~たたら製鉄~

「たたら製鉄」とは、古来から行われてきた伝統的製鉄法です。日本で唯一稼働しているたたら場は島根県奥出雲町にあります。奥出雲町には良質な砂鉄があります。その砂鉄を木炭の火力で精錬することで鉄を得ています。奥出雲町のたたら製鉄は長い年月をかけて日本独自の製鉄法として発展をとげてきました。たたらという言葉はもともと「ふいご」を意味する言葉でした。踏みふいごで鉄を吹くことからその意味が拡がりました。その製鉄法全般をさして「たたら」と呼ぶようになりました。


 原料となる砂鉄は切り出された山砂から「かんな流し」と呼ばれる方法によって、砂鉄を選別しています。土で築かれた炉に、砂鉄と木炭をくべ、ふいごによって風を送ります。高温で鉄を溶かしながら、炉の底には「鉧(けら)」と呼ばれる鉄の塊が出来ていきます。その後、炉を壊して鉧を取り出し、鉧を鉄池(かないけ)に投入し、水で急激に冷却して鋼の塊がつくられます


 たたら製鉄によって精錬される鉄のうち、最も優れた品質の鉄を「玉鋼(たまはがね)」と言います。玉鋼は今日まで日本刀の材料として主に利用されてきました。日本の歴史と美の具現化した「日本刀」はこの玉鋼でしか作り出すことが出来ません。そして、この日本刀は現在まで生産している場所は日本で世界でも1か所しかありません。その生産場所は奥出雲町であり、世界で唯一操業を続ける「日刀保たたら」があります。日刀保たたらで製錬された玉鋼は全国の刀匠のもとに送られ、刀工の技巧をもって、「日本刀の美」に昇華されていきます。


 奥出雲町のたたら製鉄はジブリ映画「もののけ姫」のモーチフとも言われ、近年では映画「たたら侍」で一躍有名になりました。 
 かつて奥出雲町では質の良い砂鉄を多く産出したため、たたら製鉄が盛んに行なわれていました。砂鉄の採掘のため削られた山あいには多くの棚田が作られ、今も美しい風景が広がっています。先祖から受け絶がれてきた奥出雲町の自然や水田が「仁多米」を育んでいます。 

~奥出雲の水~

 町の約9割を森林と田畑で占める奥出雲は、それらの命を育む「水」に恵まれている場所です。耳を澄ますと、町中からいろんな川の音が聴こえてきます。自然にとっても人にとっても水は命の源。町のあちらこちらから聴こえる水の音が心地よく感じるのは、この音が潜在意識の深いところに響くからなのでしょう。奥出雲町は水と隣り合わせで、豊富な水で育まれた町です。 


 733年に編纂された「出雲風土記」には、奥出雲の地から湧き出る水は良質であるということが記されています。内容を簡単に説明します。オオクニヌシの子ども、アヂスキタカヒコノミコトが何歳になっても、何も言わず泣き喚いていました。色々な島を船で巡って慰めても効果はありませんでした。困り果てたオオクニヌシは我が子が泣き喚く理由を教えてくださいと祈りました。そうすると、夢の中でアヂスキタカヒコノミコトは喋りました。そして、目が覚め、夢の内容を本人に聞いたところ「みざわ」と答えオオクニヌシを案内しました。アヂスキタカヒコノミコトは沢に到着し、自分自身でその沢の湧き水で身体を清めました。結果、健康体になったという逸話があります。その沢が奥出雲町にある三沢池です。奥出雲町の水は歴史的にも逸話的にも綺麗だということです。

~お湯・温泉~

 キレイな水が湧き出る奥出雲町。そんな湧き出る繋がりで忘れていけないのは温泉の存在です。奥出雲町には、斐乃上(ひのかみ)温泉、亀嵩(かめだけ)温泉、佐白(さじろ)温泉と3カ所あり、どこも美肌・美白効果が期待できるアルカリ性単純温泉です。


 斐乃上温泉は、スサノオノミコトが降り立った船通山の麓にある秘湯で「日本三大美肌の湯」としても知られます。とろりとした肌触りが特徴です。つかったあとは驚くほどツルツルで、県外からもこの湯を目当てに人が訪れるほどです。
 亀嵩温泉は古くから薬湯として親しまれており、棚田を一望できる、旅館「玉峰山荘」の中にあります。開放感たっぷりの露天風呂からは、『出雲国風土記』に登場する玉造りの神が宿る信仰の山として知られる玉峰山を望むことができ、歴史のロマンにもひたれます。


 佐白温泉は、ヤマタノオロチ神話の伝承地が点在するエリアにある日帰り温泉施設「長者の湯」の中にあります。ヌルヌルとした肌触りで、湯上りはサラサラ。岩風呂には斐伊川の石が使われており、この地のエネルギーを全身で感じられそう。


 いずれも湯あたりしにくく、子どもや高齢者でも安心して入浴できるやさしい湯です。気兼ねなくゆっくりつかって、日々の疲れを癒すことができます。

 

2.仁多米とは

  奥出雲で採れる米は、「仁多米」として全国の米どころの中でも『西の横綱』と言われる美味しいお米です。特に馬木(まき)地区は、中国山脈国定公園吾妻山の麓の盆地で神話のふるさと『八頭(やまた)のおろちの伝説』で知られる斐伊川源流域で、清らかな水や夏場の昼夜の気温差があります。気温差が大きいと美味しいお米ができます。また、島根和牛の産地として各農家には和牛が飼育されているため、堆肥等有機物をたっぷり含んだ肥沃な土が独特の美味しいお米の生産を可能にしています。



■昼夜の寒暖差


 奥出雲の水田は標高300~500メートルにあり、昼夜の気温差が大きく、そのため米粒内でのデンプン蓄積が多く、逆にタンパク質が必要以上に増えず、乳白粒が少ない良質米ができます。

■ミネラルが豊富な湧き水


 奥出雲は約9割を占める豊富な森林に覆われた花崗岩から湧き出るミネラル分たっぷりの石清水、そして太古から蓄えられた森の養分と、12月下旬から3月上旬までの積雪により、雪に含まれた海からのミネラル分が水田を潤し、美味しいお米を生産します。

■こだわった米作り


農薬をできるだけ使わない自然農法にこだわっています。山間の棚田状の地形のため徹底した水田の水管理、畦畔の草刈りなどを丹念に行って病害虫の発生を防ぐなど、収穫まで絶えず気を配っています。



仁多米は良質米の3大生産条件である、
土:先祖代々守りついだ、肥沃な土壌
水:斐伊川源泉の山の栄養をたっぷり含んだ、きれいな水
気候:山の土地に見られる、昼と夜の寒暖差
上記の条件をすべて含まれています。よって美味しい仁多米が作られます。

 

 

3.仁多米の美味しさ

 仁多米の特徴はそのツヤとコシ。島根で丁寧に栽培されたお米はきらきらと輝き、豊かな甘みがほおばった瞬間からお口に広がります。一度食べると他のお米が食べられなくなるという声が多い「仁多米」。西の横綱 仁多米とも呼ばれています。その確かなおいしさで数多くの賞を受賞しています。


 収穫したお米を「籾付き」のまま低温貯蔵します。注文に応じて籾すり・精米し、すぐに産地直送しているため、新米のとれたて品質でいただけるのも美味しさの秘訣。デンプン質をたっぷりと蓄えた甘くもっちりとした粘りのあるお米は、しっかりとした粒立ちで、香りもよく、炊きたてはもちろんのこと、冷めても美味しくいただけるお米です。


 1つ1つの田んぼが山にある棚田であるため、平地にある大きな田んぼのように機械ですべての作業が行えるわけではありません。日々天気とにらめっこして行う田んぼの水量の調節や、あぜ道や田んぼの中の除草、刈った稲の天日干し。すべて手抜きが許されない、先祖から続く大切な作業です。肥料に堆肥を使うなどのひと手間ひと手間が、おいしい仁多米をつくっています。良い土壌、清らかな水、歴史をつむいできた土地ではぐくまれた「仁多米」。

ぜひ一度ご賞味ください。



コンクール受賞一覧
 
〇米・食味鑑定士協会が平成12年から開催している
【米・食味分析鑑定コンクール】
・第19回~22回、第12回~16回 金賞受賞

〇日本穀物検定協会が開催している食味ランキング
平成10年産米・15年産米が最高位「特A」に選ばれました。

 

 

 

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